店舗BGMの著作権|市販CD・Spotifyは使える?演奏権と4つの対策

BGMを使用する店舗のイメージ

店舗やオフィスで、市販のCDやSpotifyの曲を流したい。 でも、使い方によっては、そのままでは使えないことがあります。結論から言うと、売上を目的とする店舗やオフィスで、市販CDや個人向けの配信サービスを流すときは、通常は別の許諾が必要です。

著作権の基本、店舗BGMを用意する4つの方法、見落としやすいリスク、オリジナルBGMの契約で確認したい点を解説します。

※本記事は、一般的な情報提供です。個別の案件への法的助言ではありません。最終的な判断は、管理団体や専門家に確認してください。

市販CDやSpotifyを店舗で流すには、別の許諾が必要

店舗BGMは「演奏権」の対象

不特定多数の人に聞かせる目的の再生は、著作権法の「演奏権」(第22条)の対象です。 例外として、非営利・無料・出演者に報酬なしなどの条件を満たす場合は、許諾が不要です(第38条)。

売上を目的とする店舗やオフィスは、基本的に、この例外には当たらないと考えるのが安全です。

参考:e-Gov法令検索:著作権法

個人向けサービスは、商用利用を想定していない

CDの購入や、配信サービスへの加入だけでは、店舗で自由に流せるとは限りません。 利用するサービスの規約で、確認が必要です。

次の表は、音源ごとの注意点です。

利用する音源

利用上の注意

CDの購入

購入しただけでは、店舗で流す権利は得られない

個人向けの配信サービス(Spotifyなど)

規約で、商用利用・店舗での再生が認められているか確認が必要

店舗向けのBGMサービス

費用と、利用範囲の確認が必要

関連情報:Spotify利用規約

店舗BGMを用意する4つの方法

方法は、大きく4つです。

方法

費用

手間

① 管理団体に利用許諾を申請する

使用料がかかる

曲ごとに、管理団体を調べる必要がある

② 店舗向けBGM配信サービス

月額費用が続く

小さい

③ フリーBGM素材

低コスト

規約の確認が必要

④ オリジナルBGM制作

制作費がかかる

打ち合わせが必要

※一般的な傾向です。実際の条件は、サービスや契約によって異なります。

① 管理団体に利用許諾を申請する

JASRAC(日本音楽著作権協会)やNexToneなどが管理する曲を使う方法です。 団体ごとに手続きが分かれるため、曲の管理団体を調べる手間があります。使用料の支払いも必要です。

関連記事:店舗BGMとJASRAC|管理曲を使う場合と使わない場合の違い

② 店舗向けBGM配信サービス(有線放送・BGMサブスク)

手続きの負担は小さい方法です。 一方で、月額費用が続きます。管理団体への使用料の扱いは、サービスで異なります。料金に含まれるかを確認しましょう。

③ フリーBGM素材

「商用利用可」の素材なら、初期費用を抑えられます。 ただし、使える範囲は、素材ごとに違います。

④ オリジナルBGM制作

ブランドに合う音を作れます。権利関係を契約で明確にでき、他社と同じ曲になる心配もありません。

見落としやすい3つのリスク

1. 動画・SNS・Webサイトでは、別のルールになる

動画に組み込むときは「複製権」、Webやアプリで配信するときは「公衆送信権」などが関わります。 店舗での許諾があっても、動画やSNSでの利用が認められるとは限りません。

2. フリー素材の「商用利用可」の範囲

次の4点を、確認してください。

  • クレジット表記
    必須かどうか。
  • 媒体の制限
    動画、広告、サイネージなど。
  • 他社との重複
    同じ素材を、他社も使っていないか。
  • 提供元の状況
    提供元がなくなった場合の扱い。

条件の細部に、想定外の制限があることも少なくありません。

3. YouTubeなどでの誤検出(Content ID)

フリー素材や配信サービスの音源が、他者の権利として誤って検出されることがあります。 収益化の停止や、動画のブロックにつながる場合があります。

店舗BGMの権利を、まとめて整理したい方へ 権利関係を明確にした、オリジナルBGMをご提案します。

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オリジナルBGMを作るとき、契約で確認したい5つの項目

1. 著作権の「譲渡」か「利用許諾」か

譲渡なら、権利が自社に移ります。利用許諾なら、権利は制作者が持ちます。 長く自由に使いたい、独占して使いたい場合は、譲渡が向いています。

関連記事:著作権譲渡と利用許諾(ライセンス)の違い|BGM発注前の確認ポイント

2. 翻案権(著作権法27条・28条)が含まれるか

譲渡の契約で明記しないと、これらの権利は、制作者に残ったと推定されます(著作権法61条2項)。 アレンジ、短縮、別バージョンの作成を予定するなら、契約書で確認してください。

3. 著作者人格権を「行使しない」約束

著作者人格権は、譲渡できません。 編集や、クレジットの省略などを円滑にするため、行使しないと契約で決めるのが一般的です。

4. 管理団体への信託の有無

制作者が、曲を管理団体に預けていると、再生のたびに使用料の扱いが生じることがあります。

5. 使用範囲と期間

店舗の中だけか、動画、Web、イベント、広告までかを、確認します。 期間の制限があるかも、見ておきましょう。想定している用途は、最初に伝えてください。

オリジナルBGMが向いている企業

次の項目に、1つでも当てはまるなら、検討する価値があります。

  • 複数店舗で、音の雰囲気を統一したい。
  • 店舗のPR動画やWeb広告にも、同じ音楽を使いたい。
  • 使用料や許諾手続きの管理を、増やしたくない。
  • 他社とかぶらない、独自の音を持ちたい。
  • 将来、アレンジや別バージョンを、自社で展開したい。

具体例と対策

個人経営のカフェで、手持ちのCDを流す場合

営利目的で、来店者に聞かせるなら、規模を問わず、演奏権の対象です。 管理楽曲なら、利用の許諾が必要になるのが一般的です。

オフィスの待合室や、社内で流す場合

来訪者向けか、従業員だけかなどで、判断が分かれます。 迷うときは、管理団体に直接確認してください。

オリジナルBGMなら、使用料は不要?

曲が管理団体に信託されていなければ、管理団体への使用料は発生しません。 ただし、制作費と、権利の帰属・使用範囲を決める契約は必要です。

オリジナルBGMの制作費用は?

曲数、長さ、用途、権利の範囲で変わります。 詳しくは、BGM制作の依頼方法と費用相場をご覧ください。

ご質問とアドバイス FAQ

市販のCDを、営業時間中に店で流してもいいですか?

売上を目的とする店舗では、通常、別の許諾が必要です。 管理団体の管理曲なら、利用の手続きが要るのが一般的です。

Spotifyの個人プランを、店で流してもいいですか?

個人向けのサービスは、商用利用を想定していません。 サービスの規約で、必ず確認してください。

店の紹介動画に、フリーBGMを使ってもいいですか?

素材ごとの規約で、動画への利用が認められているか、確認してください。 YouTubeでは、Content IDの誤検出にも、注意が必要です。

まとめ

売上を目的とする店舗で、市販CDや個人向けの配信サービスを流すと、権利上の問題が生じるおそれがあります。 次の4つの方法を、手間・費用・ブランドへの影響で比べて、選びましょう。

  • 管理団体への許諾
  • 店舗向けBGMサービス
  • フリー素材
  • オリジナルBGM

将来の用途の広がりと、権利の安心を重視するなら、権利関係を明確にしたオリジナルBGMが有力な選択肢です。

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