せっかく作った曲を、SpotifyやApple Musicに載せたいけど、アップロードに仕方が分からない…そんなDTMerの皆さんへ
この記事では、音楽配信のための楽曲の準備方法、リリースまでの具体的な7手順、おすすめのディストリビューターを、メリットとデメリット、収益率を比較して解説していきます。
なぜ「ディストリビューター」が必要?
SpotifyやApple Musicなどの配信プラットフォームは、アーティストが直接アップロードすることはできません。そこで利用するのが「音楽配信業者(ディストリビューター)」です。ディストリビューターは、あなたの楽曲を各配信ストアへ届け、再生収益を回収・分配してくれるビジネス・パートナーのような存在です。
違法なアップロードや著作権侵害を防ぐため、各プラットフォームは楽曲のアップロードを専門業者(ディストリビューター)に限定しています。
ディストリビューターがやってくれること
- 各配信ストアへの楽曲登録
- メタデータの管理(曲名、作曲者、ジャンル)
- 再生収益の回収と分配
- プロモーションや解析ツールの提供
【ステップ別】配信を成功させる7つの手順
実際に配信を始めるための具体的な手順を解説します。この流れに沿って進めればスムーズに配信できます。
ステップ1:楽曲の最終仕上げ
配信に耐えうる音質に仕上げるため、ミックス&マスタリングも完了させましょう。配信後に音源を差し替えることは基本的にできないので、この時点でプロの楽曲と並んでも遜色ないクオリティを確保することができるのが最大のポイントです。
書き出し時の推奨フォーマットは?
- ファイル形式:WAV(ロスレス圧縮)
- サンプリングレート:44.1kHz
- ビット深度:16bit
マスタリング時の最適なラウドネス値は?
配信サービスは、アップロードされた音源を自動的に最適化(ラウドネスノーマライゼーション)します。この処理で音質が劣化することがありますので、ミックス・マスタリングの段階から適切な音量レベル(-14 LUFS程度)に調整しておくことが重要です。
ステップ2:ジャケット画像を準備
リスナーの目を引く高品質な画像を用意しましょう。
- サイズ: 3000 × 3000 ピクセル
- 形式: JPEGまたはPNG
注意点: 文字は過度な加工は避け、配信ストアの規約に反する表現(URLやSNSアカウント名など)は入れないように注意しましょう。
ステップ3:ディストリビューターを選ぶ
大手4社(TuneCore Japan、DistroKid、CD Baby、LANDR)の費用と収益還元率、主なメリットとデメリットを比較してみました。
TuneCore Japan
- 料金体系:1シングルで1,551円/年
- 収益還元率: 100%
- 有料プランで配信すると収益の100%を受け取れます。
主なメリット | 主なデメリット |
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公式サイト:https://www.tunecore.co.jp/
DistroKid
- 料金体系:年額19.99ドルで無制限
- 収益還元率: 100%
- 無制限アップロードが可能ですが、サービス維持費や付加機能(Shazam連携など)に別途費用がかかる場合があります。
主なメリット | 主なデメリット |
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公式サイト:https://distrokid.com/
CD Baby
- 料金体系:1シングルで$9.95
- 収益還元率: 91%
- 配信期間は無期限ですが、収益から手数料が引かれます。
主なメリット | 主なデメリット |
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公式サイト:https://cdbaby.com/
LANDR
- 料金体系:年間¥7,500から(月額プランあり)
- 収益還元率: 100%
主なメリット | 主なデメリット |
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公式サイト:https://www.landr.com/ja/
TuneCoreの場合、1曲を配信するのに年間で1,000〜2,000円程度必要です。アルバム配信の場合は、5,000円前後になります。DistroKidを利用する場合は、年額20ドル〜が目安になります。
※各社の料金は2025年8月現在の情報になります。
ステップ4:ディストリビューターに登録
選んだサービスの公式サイトから、アカウントを作成します。各社それぞれ料金プランが用意されていますので、自分の配信楽曲数と予算に応じてプランを決めて支払いましょう。
登録に必要な情報
- ユーザー情報
- アーティスト名(配信ストアに表示される名前)
- 楽曲の収益を受け取るための銀行口座情報
ワンポイント: アーティスト名は、他のアーティストと被らないように事前に検索して確認しておきましょう。一度登録すると変更が難しい場合があります。
ステップ5:楽曲データ・メタ情報をアップロード
準備した音源とジャケット画像をアップロードします。同時に、以下のメタデータを入力します。
- 曲名(英語表記も必須)
- 作詞・作曲者名
- ジャンル
- リリース日(申請から2〜3週間後が目安。余裕を持って設定しましょう。)
- 歌詞データ
ステップ6:配信申請
全ての情報を入力したら、最終確認をして配信を申請します。申請後、ディストリビューターの審査が入り、審査が通れば、設定したリリース日に自動的に配信が開始されます。
ステップ7:配信開始後のプロモーション
リリースはあくまでスタート地点です。リリース後も継続的なプロモーションを行うことで、より多くの人に聴いてもらうチャンスが広がります。
SNSでの告知
X(旧Twitter)やInstagramでリリース告知、制作秘話などを発信。リリース日までのカウントダウンや、ショート動画を活用してリスナーの期待感を高めましょう。
プレイリストへのピッチ(申請)
Spotify for Artistsなどを活用し、公式プレイリストへの掲載を申請。楽曲のジャンルやムードを正確に伝えることが重要です。
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音楽レビューブログへの依頼
音楽ブロガーにレビューを依頼する。
【重要】著作権とJASRACについて
楽曲の著作権について
配信を始める前に、ご自身の楽曲がオリジナルであることを確認しましょう。他者の楽曲を無断でカバーしたり、サンプリングしたりすることは著作権侵害にあたります。
JASRACへの登録は必要?
ディストリビューターを利用して配信する場合、基本的にJASRACへの登録は必須ではありません。再生収益はディストリビューターを通じて分配されます。ただし、配信以外の用途(カラオケ配信など)を考えている場合は、JASRACへの登録も検討しましょう。JASRAC登録への手順はここでは省略しますが、申請するためにはリリースの実績が求められる場合があります。まずはディストリビューターを利用して配信して、リリース実績を作ってからJASRACに登録する手順がお勧めです。
プロ品質の音源で勝負する
配信を成功させる最大のカギは 「音質」 です。SpotifyやApple Musicでは、プロアーティストの楽曲と同じプレイリストで並びます。ラウドネスノーマライゼーションにも最適化されたサウンドで、配信前の音源を最高の状態に仕上げましょう。
👉 MASTER SOUND では、オンライン完結で業界標準クオリティの仕上げを提供しています。