パラデータとは?ステムデータとの違いと書き出し方【ミックス依頼前の準備】

パラデータの書き出し準備画面

パラデータとは、楽曲の各トラックを、1本ずつ別々の音声ファイル(WAV)に書き出したデータです。 曲のミックスを依頼するときに必要になります。

ドラムやシンセなど、トラックの種類をある程度まとめて書き出したものは、「ステムデータ」と呼びます。別のものです。

本記事では、2つの違い、書き出し前に決めること、書き出しの7ステップを順に解説します。 DAW別の設定値と、よくある質問もまとめました。

ミックス依頼で、なぜパラデータが必要?

プロのエンジニアにミックスを頼むとき、パラデータは欠かせません。

理由は、次の3つです。

  • 細かく調整できる
    トラックが分かれていれば、音量や音質を1本ずつ整えられます。
  • 再依頼しやすい
    別のエンジニアに頼み直すときも、同じデータを使えます。
  • 別バージョンを作れる
    TV、YouTube、カラオケなど、用途別の音源を後から作れます。

データを整理して残しておけば、修正や再利用もしやすくなります。

曲の資産価値を高めることにもつながります。

パラデータ作成の基礎知識

パラデータとステムデータの違い

2つのデータの違いは以下です。

項目

パラデータ

ステムデータ

構成

各トラックごとに書き出す

複数のトラックをまとめて書き出す

用途

ミックス作業用の共有

ライブや放送などの素材

ファイル

多い
(10〜100トラック以上)

少ない
(4〜10トラック程度)

迷ったら、依頼先に「パラデータとステムデータのどちらがよいか」を確認しましょう。 ミックスを依頼する場合は、パラデータが基本です。

書き出し(トラックダウン)前に決めること4点

Cubaseの書き出し画面

書き出しの前に、次の4点を決めておくと、やり直しを防げます。

1. サンプリングレートとビット深度

用途に合わせて、次のどちらかを選びます。

  • CDプレス向け
    44.1kHz/16bit
  • 映像や高音質配信向け
    48kHz/24bit

CDプレスだけなら44.1kHz。映像も想定するなら、48kHzが向いています。 ハイレゾが必要な場合に限り、それ以上の数値を使います。

まずは、どちらかで書き出せば問題ありません。

2. トラック名からファイル名に整える

次の表は、ファイル名のNG例とOK例です。

NG例

ボーカル.wav

VocalLead.wav

bass.wav

Bass.wav

Audio01.wav

Kick.wav

ハモリ右.wav

Chorus_R.wav

「Audio_01」のような、意味のない名前は避けましょう。 誰が見ても分かる名前にして、プロジェクト内でルールを統一します。

パンの意図は、ファイル名に書きます。 たとえば、右に振るコーラスなら、「R」を入れます。

3. エフェクトの扱い:基本はOFF

コンプレッサーやEQなどのエフェクトは、基本的にオフにして書き出します。 リバーブやディレイなどの空間系は、必要に応じて、オンのままで構いません。

迷うときは、エフェクトあり(Wet)となし(Dry)の両方を書き出すと親切です。

4. モノラルかステレオか

パンを振っていない単一の音源(ボーカルなど)は、基本的にモノラルで書き出します。

ボーカルを重ねてステレオ感を出す場合は、メイン1本と、被せ2本(L・R)以上が標準です。 コーラスやハモリをまとめて入稿するなら、ステレオで構いません。

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パラデータの作り方:7ステップ

ここからは、書き出しの手順です。
上から順に進めれば、入稿用のデータが完成します。

① プロジェクトをバックアップする

まず、別名で保存します。
元の状態に、いつでも戻せるようにしておきます。

② 不要なトラックを整理する

使っていないトラックや、ミュートしたままのトラックは削除します。
共有するのは、曲に使っているトラックだけです。

③ フェードとクロスフェードを確認する

クロスフェードのイメージ

オーディオの音の切れ目に、意図しないノイズ(「ブツッ」という音)がないか確認します。
フェードが足りないと、トラブルの原因になります。

④ ファイル形式はWAV(非圧縮)にする

書き出しは、WAVかAIFFの非圧縮形式にします。
MP3などの圧縮形式は、音質が劣化するため使えません。

⑤音量とクリップノイズをチェック

クリップ(音割れ)状態の波形

メーターが赤くならないか、確認します。
クリップ(音割れ)は、波形の上下が水平に削られた形になります。

一度クリップしたデータは、あとから直せません。入稿の前に、必ずチェックしてください。

⑥ 全トラックを書き出す

パラデータ流し込み後の作業画面

曲の最初から最後までを範囲にして、全トラックを個別のファイルとして書き出します。
すべてのファイルの開始位置をそろえるのがポイントです。空白の部分も含めて、頭から書き出してください。

登場回数が少なく、ほとんど無音のトラックでも問題ありません。

DAW別一括書き出しの流れ

次の表は、DAWごとの一括書き出しの流れです。ほとんどのDAWで、メニューから1回の操作で、全トラックを別々のファイルにできます。

DAW

一括書き出しの流れ

主な設定

Logic Pro

「ファイル」→「書き出し」→
「すべてのトラックをオーディオファイルとして」

・WAV:24bit
・プラグインとオートメーション「オフ」

Ableton Live

「ファイル」→「オーディオ/ビデオを書き出し」→
「Rendered Track」で「All Individual Tracks」を選ぶ

・WAV:24bit
・Normalize「オフ」、ディザ「なし」

Cubase

「ファイル」→「書き出し」→「オーディオミックスダウン」→
「チャンネルセレクター」欄から、書き出したいトラック(チャンネル)にチェック(複数選択可)

・WAV:24bit
・48kHz

Fender Studio Pro

「ソング」→「ステムを書き出し」→
書き出すトラックをすべて選ぶ

・WAV:24bit
・48kHz

※2026年10月時点です。メニューの名前や場所は、バージョンで変わります。

Logic Pro

書き出し画面の設定に注意します。
「Overload Protection」はオフにします。範囲は「Trim Silence at File End」にすると、各ファイルの終わりの無音が切られます。開始位置がそろっていれば、長さが違っても問題ありません。

Ableton Live

全トラックのファイルと一緒に、ステレオの2ミックスも作られます。不要であれば、削除してください。

Cubase

個別書き出し(チャンネルバッチ書き出し)は、上位版(Pro)の機能です。お使いのグレードで、使えるか確認してください。使えない場合は、書き出したいトラックを1つずつ書き出します。

詳しい手順は、以下の各DAWの解説ページが参考になります。

⑦ 最終チェックをして、共有する

音ズレ、ノイズ、音割れがないかを書き出したファイルを再生して確認します。

問題がなければ、次の手順で共有します。

  • 1つのフォルダにまとめ、ZIP形式で圧縮。
  • ギガファイル便やGoogle Driveなどで共有。
  • 自分でミックスしたデモ音源も、可能なら。

デモ音源を添えると、エンジニアが方向性をつかみやすくなります。

書き出せたら、そのままミックスを依頼できます

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ご依頼内容

料金の目安(税込)

基本コース(10トラックまで)

9,900円〜

標準コース(11〜30トラック)

16,500円〜

プロコース(31トラック以上)

27,500円〜

歌ってみたコース(ピッチ・タイミング補正あり)

14,300円〜

生成AIトラック+ボーカル(ピッチ・タイミング補正あり)

14,300円〜

オプション作業(オートチューン加工・お急ぎ納品など)

4,400円〜

DAWが違っても、ミックスは依頼できる

パラデータは、WAVという共通の形式です。 そのため、依頼先と同じDAWを使う必要はありません。

Logic Proで作った曲でも、Cubaseで作った曲でも、各トラックを個別のWAVに書き出せば、そのままミックスを依頼できます。 書き出しの手順は、前述の「DAW別一括書き出しの流れ」の表を参考にしてください。

使っているDAWの書き出し方が分からない場合も、お気軽にご相談ください。

ミックスのご依頼でよくある質問

Q. ステムデータで送ってもいいですか?

AI生成音源など、ご依頼によって異なりますが可能です。通常のミックスを依頼するときは、パラデータが基本です。

Q. MP3で書き出してもいいですか?

圧縮形式は音質が劣化するためおすすめできません。 WAVかAIFFの、非圧縮形式で書き出してください。

Q. ファイル数が多くなっても大丈夫ですか?

問題ありません。
パラデータは、10〜100トラック以上になることもあります。 フォルダにまとめて、ZIPで圧縮してから共有してください。

Q. エフェクトはかけたままでよいですか?

コンプやEQは、基本的にオフにします。
リバーブやディレイは、オンのままで構いません。迷ったら、WetとDryの両方を書き出してください。

まとめ

パラデータは、各トラックを個別のWAVにしたデータです。 ミックスを依頼するときの、基本の入稿形式です。

書き出すときは、次の点を押さえましょう。

  • 形式
    WAV(非圧縮)、48kHz/24bitが目安です。
  • 名前
    誰が見ても分かるファイル名にします。
  • 長さ
    全ファイルの開始位置と長さをそろえます。
  • チェック
    クリップとノイズは、必ず確認します。

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