パラデータとは?ステムデータとの違いと書き出し方【ミックス依頼前の準備】

パラデータとは、楽曲の各トラックを、1本ずつ別々の音声ファイル(WAV)に書き出したデータです。 曲のミックスを依頼するときに必要になります。
ドラムやシンセなど、トラックの種類をある程度まとめて書き出したものは、「ステムデータ」と呼びます。別のものです。
本記事では、2つの違い、書き出し前に決めること、書き出しの7ステップを順に解説します。 DAW別の設定値と、よくある質問もまとめました。
ミックス依頼で、なぜパラデータが必要?
プロのエンジニアにミックスを頼むとき、パラデータは欠かせません。
理由は、次の3つです。
データを整理して残しておけば、修正や再利用もしやすくなります。
曲の資産価値を高めることにもつながります。
パラデータ作成の基礎知識
パラデータとステムデータの違い
2つのデータの違いは以下です。
項目 | パラデータ | ステムデータ |
|---|---|---|
構成 | 各トラックごとに書き出す | 複数のトラックをまとめて書き出す |
用途 | ミックス作業用の共有 | ライブや放送などの素材 |
ファイル | 多い | 少ない |
迷ったら、依頼先に「パラデータとステムデータのどちらがよいか」を確認しましょう。 ミックスを依頼する場合は、パラデータが基本です。
書き出し(トラックダウン)前に決めること4点

書き出しの前に、次の4点を決めておくと、やり直しを防げます。
1. サンプリングレートとビット深度
用途に合わせて、次のどちらかを選びます。
CDプレスだけなら44.1kHz。映像も想定するなら、48kHzが向いています。 ハイレゾが必要な場合に限り、それ以上の数値を使います。
まずは、どちらかで書き出せば問題ありません。
2. トラック名からファイル名に整える
次の表は、ファイル名のNG例とOK例です。
NG例 | OK例 |
|---|---|
| VocalLead.wav |
| Bass.wav |
| Kick.wav |
| Chorus_R.wav |
「Audio_01」のような、意味のない名前は避けましょう。 誰が見ても分かる名前にして、プロジェクト内でルールを統一します。
パンの意図は、ファイル名に書きます。 たとえば、右に振るコーラスなら、「R」を入れます。
3. エフェクトの扱い:基本はOFF
コンプレッサーやEQなどのエフェクトは、基本的にオフにして書き出します。 リバーブやディレイなどの空間系は、必要に応じて、オンのままで構いません。
迷うときは、エフェクトあり(Wet)となし(Dry)の両方を書き出すと親切です。
4. モノラルかステレオか
パンを振っていない単一の音源(ボーカルなど)は、基本的にモノラルで書き出します。
ボーカルを重ねてステレオ感を出す場合は、メイン1本と、被せ2本(L・R)以上が標準です。 コーラスやハモリをまとめて入稿するなら、ステレオで構いません。
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パラデータの作り方:7ステップ
ここからは、書き出しの手順です。
上から順に進めれば、入稿用のデータが完成します。
① プロジェクトをバックアップする
まず、別名で保存します。
元の状態に、いつでも戻せるようにしておきます。
② 不要なトラックを整理する
使っていないトラックや、ミュートしたままのトラックは削除します。
共有するのは、曲に使っているトラックだけです。
③ フェードとクロスフェードを確認する

オーディオの音の切れ目に、意図しないノイズ(「ブツッ」という音)がないか確認します。
フェードが足りないと、トラブルの原因になります。
④ ファイル形式はWAV(非圧縮)にする
書き出しは、WAVかAIFFの非圧縮形式にします。
MP3などの圧縮形式は、音質が劣化するため使えません。
⑤音量とクリップノイズをチェック

メーターが赤くならないか、確認します。
クリップ(音割れ)は、波形の上下が水平に削られた形になります。
一度クリップしたデータは、あとから直せません。入稿の前に、必ずチェックしてください。
⑥ 全トラックを書き出す

曲の最初から最後までを範囲にして、全トラックを個別のファイルとして書き出します。
すべてのファイルの開始位置をそろえるのがポイントです。空白の部分も含めて、頭から書き出してください。
登場回数が少なく、ほとんど無音のトラックでも問題ありません。
DAW別一括書き出しの流れ
次の表は、DAWごとの一括書き出しの流れです。ほとんどのDAWで、メニューから1回の操作で、全トラックを別々のファイルにできます。
DAW | 一括書き出しの流れ | 主な設定 |
|---|---|---|
Logic Pro | 「ファイル」→「書き出し」→ | ・WAV:24bit |
Ableton Live | 「ファイル」→「オーディオ/ビデオを書き出し」→ | ・WAV:24bit |
Cubase | 「ファイル」→「書き出し」→「オーディオミックスダウン」→ | ・WAV:24bit |
Fender Studio Pro | 「ソング」→「ステムを書き出し」→ | ・WAV:24bit |
※2026年10月時点です。メニューの名前や場所は、バージョンで変わります。
Logic Pro
書き出し画面の設定に注意します。
「Overload Protection」はオフにします。範囲は「Trim Silence at File End」にすると、各ファイルの終わりの無音が切られます。開始位置がそろっていれば、長さが違っても問題ありません。
Ableton Live
全トラックのファイルと一緒に、ステレオの2ミックスも作られます。不要であれば、削除してください。
Cubase
個別書き出し(チャンネルバッチ書き出し)は、上位版(Pro)の機能です。お使いのグレードで、使えるか確認してください。使えない場合は、書き出したいトラックを1つずつ書き出します。
詳しい手順は、以下の各DAWの解説ページが参考になります。
⑦ 最終チェックをして、共有する
音ズレ、ノイズ、音割れがないかを書き出したファイルを再生して確認します。
問題がなければ、次の手順で共有します。
デモ音源を添えると、エンジニアが方向性をつかみやすくなります。
書き出せたら、そのままミックスを依頼できます
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ご依頼内容 | 料金の目安(税込) |
|---|---|
基本コース(10トラックまで) | 9,900円〜 |
標準コース(11〜30トラック) | 16,500円〜 |
プロコース(31トラック以上) | 27,500円〜 |
歌ってみたコース(ピッチ・タイミング補正あり) | 14,300円〜 |
生成AIトラック+ボーカル(ピッチ・タイミング補正あり) | 14,300円〜 |
オプション作業(オートチューン加工・お急ぎ納品など) | 4,400円〜 |
DAWが違っても、ミックスは依頼できる
パラデータは、WAVという共通の形式です。 そのため、依頼先と同じDAWを使う必要はありません。
Logic Proで作った曲でも、Cubaseで作った曲でも、各トラックを個別のWAVに書き出せば、そのままミックスを依頼できます。 書き出しの手順は、前述の「DAW別一括書き出しの流れ」の表を参考にしてください。
使っているDAWの書き出し方が分からない場合も、お気軽にご相談ください。
ミックスのご依頼でよくある質問
Q. ステムデータで送ってもいいですか?
AI生成音源など、ご依頼によって異なりますが可能です。通常のミックスを依頼するときは、パラデータが基本です。
Q. MP3で書き出してもいいですか?
圧縮形式は音質が劣化するためおすすめできません。 WAVかAIFFの、非圧縮形式で書き出してください。
Q. ファイル数が多くなっても大丈夫ですか?
問題ありません。
パラデータは、10〜100トラック以上になることもあります。 フォルダにまとめて、ZIPで圧縮してから共有してください。
Q. エフェクトはかけたままでよいですか?
コンプやEQは、基本的にオフにします。
リバーブやディレイは、オンのままで構いません。迷ったら、WetとDryの両方を書き出してください。
まとめ
パラデータは、各トラックを個別のWAVにしたデータです。 ミックスを依頼するときの、基本の入稿形式です。
書き出すときは、次の点を押さえましょう。
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