「アナログ感のあるミックスにしたい」時に役に立つアナログモデリング・プラグインがEQP-1Aです。伝説的なアナログEQ「Pultec EQP-1A」のサウンドを忠実に再現したプラグインは、WAVES等、各社から出ています。
この記事では、PC負荷の軽い、Red Rock Sound 社の「EQP-1A Immersive Program Equalizer」を例に、EQP-1Aプラグインの独特な操作方法や、プロのエンジニアでは有名な「低域ブースト&カット」の秘密を解説します。
Pultec EQP-1Aとは?
Pultec EQP-1Aは、1950年代に登場したアナログEQです。その設計は、特定の周波数をピンポイントで調整するのではなく、音楽全体の「音調(トーン)」を整えることに特化しています。そのアナログならではの、滑らかで心地よい音は、現代のデジタルサウンドにはない魅力として、多くのプロフェッショナルに支持され続けています。
マスタリングに最適なプログラムイコライザー設計
EQP-1Aは、特にミックスの「全体的な音調」を調整するのに優れています。プログラムイコライザーの設計により、個々のトラックではなく、音楽全体のバランスを取りながら、効果的に音質を向上させることができます。これにより、マスタリングでの最終調整が非常に効率的になります。
EQP-1Aプラグインの活用術
▶メーカーサイト:Red Rock Sound EQP-1A Immersive Program Equalizer
EQP-1Aは、その特性からミックスバスやドラムバス、そしてボーカルやベースといった重要なトラックでの使用にも最適です。
魔法のテクニック:「低域のブースト&カット」を同時に行う
EQP-1Aの最も有名なテクニックが、「Low Frequency」の「Boost」ノブと「Low Frequency」の「Attenuation」ノブを同時に使用するという裏技です。
なぜ同時に使うのか?ですが…。通常のEQでは音が破綻してしまいますが、EQP-1Aはブーストとカットで異なる回路を通るため、低域のピークを作りながらも、その周辺の不要な周波数を削り取るという、独特な効果が得られます。
キックやベースの音に力強いパンチと太さを与えながら、低域全体の濁りや膨らみを抑え、タイトでクリアなサウンドを実現します。
「低域のブースト&カット」のセッティング例
- Low Boostノブ: 3dB〜5dB程度
- Low Attenノブ: 1dB〜3dB程度
- Frequencyノブ: 60Hzか100Hzあたりがおすすめです。
中高域を「滑らか」に整える
Pultec EQP-1Aは、高域の調整にも優れています。耳に刺さるような高音を抑え、ボーカルやシンセをより滑らかで聞き心地の良いサウンドに仕上げます。
中高域のセッティング例
- High Boostノブ: 2dB〜4dB程度
- High Attenノブ: 1dB〜2dB程度
- Frequencyノブ: 5kHzあたりに設定し、中高域の存在感を出します。10kHz以上に設定すると、ミックスにアナログ感のある艶を加えることができます。
プロのサウンドはプラグインだけでは作れない?
EQP-1Aプラグインは、その独特なサウンドであなたのミックスを格段に向上させる強力なツールです。
「プラグインを使ってみたけど、思ったような効果が得られない…」
「アナログ的な温かさや深みが欲しいけど、どうすればいいか分からない…」
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