ミックス外注|依頼前のパラデータの作り方【初心者向け完全ガイド】

2025年8月2日 | DTMサポートブログ

ミックス依頼で必須のパラデータについて、基本的な知識や入稿時の注意事項をまとめてみました。データの準備から書き出し方法など、パラデータの作り方も詳しく解説しています。

パラデータとは、曲を構成する楽器やボーカルなどの各トラックを、個別の音声ファイルとして書き出したものです。例えば、ボーカル、ギター、ベース、ドラムのキックやスネアといったトラックを、それぞれ独立したWAVファイルに書き出します。

なぜパラデータが必要?

宅録でDTMした曲を、プロのミックスエンジニアに仕上げをお願いする時に必須なのがパラデータです。

プロへのミックス依頼時に不可欠

自分で作った曲をプロのエンジニアにミックスしてもらう時に、パラデータは必須です。各トラックがバラバラになっていることで、エンジニアは音量音質を細かく調整することができます。

曲の資産価値を高める

一度パラデータを作っておけば、別のエンジニアにミックスを再依頼したり、TV・YouTube・カラオケなどさまざまな用途の別バージョンに対応できます。曲のデータが整理されていると、将来的な修正や再利用がしやすくなり、曲自体の価値になります。

パラデータ作成の基礎知識

パラデータとステムデータの違い

スタジオやプロの現場では「パラデータ」や「ステムデータ」という言葉でデータを扱います。

 パラデータステムデータ
構成各トラックごとの書き出し複数トラックをまとめたもの
用途ミックス作業用に共有ライブや放送用の素材
ファイル数多い(10~100トラック以上)少ない(4~10トラック程度)

 

サンプリングレートとビット深度

配信リリースやCD制作であれば「44.1kHz/16bit」、映像制作や高音質を求める場合は「48kHz/24bit」が一般的です。まずはこのどちらかで書き出せば問題ありません。ハイレゾでの出力が必要な楽曲の場合に限り、これ以上の数字で書き出しすることは必要ありません。

CD用であれば44.1kHzでもOKですが、映像用途も考えるなら48kHzがベストです。

トラックの整理とネーミングルール

Audio_01.wav」では意味がわかりませんよね?「Kick.wav」「LeadVocal.wav」のように、誰が見てもわかるファイル名にしましょう。プロジェクトによって命名ルールを統一することで、ミスを防ぐことができます。

また、パンのこだわりはファイル名に記載するようにしましょう。例えば、左に振りたいコーラスパートは「Chorus_L.wav」のようにLRを明確にするとエンジニアとしては作業がしやすいです。

NG例OK例
  • ボーカル.wav
  • bass.wav
  • Audio01.wav
  • VocalLead.wav
  • Bass.wav
  • Kick.wav

エフェクト処理の扱い

ミックス作業をスムーズに進めるために、コンプレッサーやEQなどのエフェクトは、基本的にすべてオフにした状態で書き出しましょう。ただし、リバーブやディレイなど、楽曲の雰囲気を大きく左右する空間系エフェクトは、必要に応じてONで問題ありません。

迷った場合は、エフェクトをかけた音のトラックを(Wet)とし、かけていない元の音を(Dry)と表記して両方を書き出しておくと親切です。

モノラルとステレオを正しく設定

ボーカルなど、パンを振っていない単一の音源は、基本的にモノラルで書き出します。歌ってみた等のステム以外のヴォーカルは、基本的にモノラルで問題ありません。ボーカルの被せでステレオ効果を作りたい場合は、メインx1本・被せ2本(L,R)以上が標準になります。コーラスパートやハモリパートをまとめてステムデータで入稿する場合はステレオでOKです。

パラデータの作り方:7ステップ

①プロジェクトのバックアップ

まずはプロジェクトファイルを別名で保存し、いつでも元の状態に戻せるようにしておきましょう。

②不要なトラックの整理

使っていないトラックや、ミュートしたままのトラックは削除します。不要なものは共有しないようにしましょう。

③フェードやクロスフェードの確認

トラックの切れ目に意図しないノイズが入っていないか、必ず確認しましょう。「ブツッ」と切れていたり、フェードが足りていないと、後でトラブルのもとになります。

④ファイル形式はWAV(非圧縮)が必須

MP3などの圧縮形式は音質が劣化するためNGです。WAVAIFFの非圧縮形式で書き出しましょう。

⑤音量とクリップノイズをチェック

書き出す際の音量は大きすぎると、クリップノイズ(音割れ)の原因になります。トラックのメーターが赤くなっていないか確認しましょう。波形がリージョンの「天井と床」を超えて水平にカットされてしまったような波形になります。一度クリップノイズが発生すると修正できないため、書き出し前に十分なチェックが必要です。

⑥トラックを書き出す

トラックごとに書き出していきます。曲全体を選択範囲として、空白部分を含む各トラックの尺が同じオーディオデータをそれぞれ作成します。書き出し後のファイルは、各トラック毎の頭出しがそろった、長さ(尺)が同じWAVまたはAIFFで書き出したデータになります。出現頻度の少ない音は必然的に空白部分がほとんどの状態になりますが問題ありません。

Cubaseでの書き出し方法

「ファイル」→「書き出し」→「オーディオミックスダウン」を選択します。

参考:https://sleepfreaks-dtm.com/for-beginner-cubase/lesson11/

Logic Pro Xでの書き出し方法

「ファイル」→「バウンス」→「プロジェクトまたは選択範囲」を選択します。

参考:https://sleepfreaks-dtm.com/for-beginner-logic/lesson11-2/

Studio Oneでの書き出し方法

「ソング」→「ミックスダウンをエクスポート」を選択します。

参考:https://sleepfreaks-dtm.com/for-beginner-studioone/export_audio/

Ableton Liveでの書き出し方法

「ファイル」→「オーディオ/ビデオをエクスポート」を選択します。

参考:https://sleepfreaks-dtm.com/session-view-live/export-audio/

FL Studioでの書き出し方法

「File」から「Export」→「Wave File」を選択します。

参考:https://sleepfreaks-dtm.com/for-beginner-fl/export-song-fl/

⑦最終チェックとデータ共有

すべてのトラックを書き出したら、もう一度再生して、音ズレやノイズがないか確認しましょう。書き出し時に音が大きすぎて歪んで聴こえる(音割れ)場合がありますのでボリュームが大きすぎないように調整しましょう。必ず試聴して確認をしましょう。これで、整理されたパラデータの完成です!

入稿データの共有方法

作成したパラデータは、1つのフォルダにまとめてZIP形式で圧縮し、ギガファイル便やGoogle Driveなどのクラウドサービスを利用してデータを共有します。このとき、自分でミックスしたデモ音源を一緒に送ることで、エンジニアが曲の方向性を把握しやすくなります。

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