「Waves PuigChild Compressor」は、1950年代に生まれた伝説的なコンプレッサー「Fairchild 660 / 670」を忠実に再現したアナログシミュレーション・プラグインです。その最大の魅力は、デジタルでは得られない、滑らかで音楽的なコンプレッションにあります。
この記事では、PuigChildプラグインについての基礎知識と、ミックスをワンランク上に引き上げるプロのテクニックまで解説します。
PuigChild Compressorとは?
▶メーカーサイト:https://www.waves.com/plugins/puigchild-compressor
PuigChildは、伝説的なエンジニアJack Joseph Puig(ジャック・ジョセフ・プイグ)が、あの「Fairchild」のサウンドをプラグインで再現したものです。オリジナルの「Fairchild」は、世界中のトップスタジオに設置されているものの、非常に高価でメンテナンスも難しいため、DTMerにとってプラグイン版はまさに夢のツールと言えます。
PuigChildは、真空管が生み出す豊かな倍音と、自然で音楽的なコンプレッションカーブを忠実にエミュレートしています。これにより、音を潰すことなく、まるでアナログ卓で仕上げたかのような、温かく滑らかなサウンドを実現します。
PuigChildプラグインの活用術3選
PuigChildには、モノラル用の「660」と、ステレオ用の「670」の2つのモデルが用意されています。それぞれの特性を活かした使い方を解説していきます。
①ボーカルに「存在感」と「艶」を与える(660/670)
PuigChildは、ボーカルのコンプレッションに最適です。音量のバラつきを抑えながら、声に温かい倍音と奥行きを与えます。
ボーカルのコンプレッション用セッティング例
- Input Gain:コンプレッションが軽くかかるまで、ゆっくりと上げていきます。
- Time Constant:Position 1(早いアタック/リリース)か、Position 2(やや遅めのアタック/リリース)から試すのがおすすめです。
- Threshold:ゲインリダクションメーターが-1dB〜-3dBを指す程度に調整します。
ポイント:Position 1は、ロックボーカルなどのパンチ感を出したいときに。Position 2は、バラードなどの、よりスムーズなダイナミクス処理に使います。
②ドラムバスに「パンチ」と「まとまり」を与える(670)
ドラムバスにインサートすることで、各パートを「接着剤」のようにまとめ、タイトで迫力のあるグルーヴを作り出します。
ドラムバス用のセッティング例
- Time Constant:Position 4(遅いアタック/リリース)
- Threshold:ゲインリダクションメーターが-1dB〜-2dBを指す程度に調整します。
ポイント:Time ConstantをPosition 4に設定すると、キックやスネアのアタックを潰さずにコンプレッションがかかるため、自然なグルーヴ感を保てます。
③マスタリングで「アナログの仕上げ」をする(670)
2mixの最終段で軽くコンプレッションをかけることで、音圧を稼ぎながら、全体にリッチな奥行きと温かみを与えることができます。
マスタリング用のセッティング例
- Time Constant:Position 5
- Threshold:ゲインリダクションメーターが-0.5dB〜-1dBを指す程度に調整します。
ポイント:Position 5は、非常にゆっくりとしたリリース設定で、まるでリミッターのように機能します。これにより、音のピークを滑らかに抑え、マスタリングに不可欠な音圧を自然に稼ぐことができます。
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