ミックス依頼で要望を伝える方法|リファレンス曲とデモ音源の使い方

リファレンス曲を聴く女性のイメージ

ミックスを依頼するとき、「いい感じにしてほしい」と書いて、不安になったことはありませんか。

ミックスのイメージは、リファレンス曲とデモ音源の2つを添えると、確実に伝わります。 要望は、文章だけで説明するより、音で見せるほうが誤解が減ります。

本記事では、リファレンス曲の選び方、伝える項目、依頼文のテンプレートを解説します。 プロ歴20年以上のサウンドエンジニアとして、オンラインでミックスを受けている立場からまとめました。

データの書き出しは、先に「パラデータとは?ステムデータとの違いと書き出し方」で準備しておくと、スムーズです。

リファレンス曲は、ミックス依頼に必要?

必須ではありませんが、あると仕上がりのズレが大きく減ります。

「明るい音」「迫力のある音」は、人によって指す音が違います。 1曲の音を添えるだけで、エンジニアは目指す方向を、すぐに判断できます。

  • 注意点
    リファレンス曲と同じ音になるわけではありません。 録音も編曲も違うため、「バランスや雰囲気の目標」として使います。

リファレンス曲の選び方:3つの基準

リファレンス曲は、次の3つを満たすものを選びます。

  • ジャンルと編成が近い
    バンドの曲なら、バンドの曲を。 歌ものなら、同じように歌が中心の曲を選びます。
  • 1〜2曲に絞る
    曲が多いと、方向がぼやけます。 多くても3曲までです。
  • 「どこが好きか」を1行添える
    「ボーカルの近さ」「低音感」のように、見てほしい点を必ず書きます。

曲は、曲名とアーティスト名で伝えます。 配信サービスのURLリンクを添えると、確実です。

次の表は、よくある選び方のNG例とOK例です。

NG例

OK例

好きな曲を5曲
まとめて送る

目標に近い曲を
1〜2曲に絞る

「この曲みたいに」とだけ書く

「ボーカルの近さをこの曲みたいに」と書く

ジャンルが全く違う曲を選ぶ

同じジャンル・同じ編成の曲を選ぶ

リファレンス曲の他に、何を伝えればいい?

次の6項目を伝えれば、十分です。 すべて短い一言で構いません。

項目

書き方の例

用途

Spotifyなどでの配信/YouTube/CD

ジャンル・雰囲気

明るく疾走感のあるポップロック

特に聴かせたい音

ボーカルとギターソロ

気になっている点

自分だとサビでボーカルが埋もれる

避けたいこと

音圧を上げすぎて、歪ませたくない

納期の希望

来月1日のリリースに間に合わせたい

要望は、多くても3〜5点に絞りましょう。 すべてを優先すると、何が大切か分からなくなります。

「迫力」「抜け」は、どう言い換えれば伝わる?

抽象的な言葉は、具体的な音の言葉に言い換えると伝わります。

同じ言葉でも、複数の意味に取れる例として、よくある言葉と、エンジニアの受け取り方の違いをまとめてみました。

よくある言葉

エンジニアが迷うこと

伝え方の例

迫力がほしい

低音の量感か、音圧か、広がりか

「キックとベースを太く」「サビで広がりがほしい」

抜けをよくしたい

高域を足すのか、他の音を整理するのか

「ボーカルがギターに隠れる」

温かい音にしたい

低中域を足すのか、高域を抑えるのか

リファレンス曲を1曲添える

もっと前に出したい

音量か、近さ(リバーブの量)か

「音量を上げたい」「リバーブを浅くしたい」

いい感じにしてほしい

判断の材料がない

リファレンス曲と、気になる点を1つ

  • 言い換えに迷うときは、症状を書くのが近道です。 「サビでボーカルが聞こえにくい」のように、困っていることをそのまま伝えます。

実際の作業では、修正で対応しました。作業量が増えるだけでなく、お客様の3回の無料修正対応を削る形になりましたので、以後は作業前の確認を徹底することにしています。

デモ音源は、どう添えればいい?

自分でラフにミックスした2ミックス(WAV)を、1本添えます。 完成度は低くて構いません。

デモ音源があると、次の3点が分かります。

  • 音量バランス
    ボーカルと伴奏の、狙いの大きさ
  • 空間の深さ
    リバーブやディレイの、かけ方の好み
  • 定位
    左右の配置のイメージ

ただし、デモ音源は「正解」ではなく、方向性の参考です。 デモの音をそのまま再現するのではなく、狙いを読み取って、より良く仕上げます。

デモ音源を作る時間がないときは、仮のバランスで書き出したもので問題ありません。 デモ音源がなくても、依頼はできます。

依頼文に必要な項目

  • 【曲名】
    ◯◯◯◯◯◯◯◯
  • 【BPM】
    例)BPM120
  • 【用途】
    例)配信リリース
  • 【リファレンス曲】
    例)仕上がりの参考曲(曲名/アーティスト名)
  • 【作業への要望①】
    例)ピッチとタイミングの補正お願いします。ピッチは修正後に機械音のようにならない、自然な範囲でお願いします。
  • 【作業への要望②】
    例)サビ箇所で、ハモリの生成お願いします。
  • 【避けたいこと】
    例)音圧を上げすぎて歪ませないようにお願いします。

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まとめ

ミックスの要望は、リファレンス曲とデモ音源で伝えると、確実です。

依頼するときは、次の点を押さえましょう。

  • 楽曲情報
    曲名、BPM、アーティスト名
  • データ情報
    入稿データのURL・ダウンロードリンク
  • リファレンス曲
    1〜2曲に絞り、「どこが好きか」を添える
  • 用途
    YouTube公開か配信リリースか
  • 要望
    ボーカルのピッチとタイミングの補正が必要か
  • デモ音源
    ラフなものを1本。方向性の参考として添える

オンライン・ミックスマスタリング

MASTER SOUNDでは、オンラインで完結する高品質なミックス&マスタリングサービスを提供しています。要望の伝え方で迷う場合も、お気軽にご相談ください。

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