ボーカル録音の基本|マイク距離20cmとゲイン設定のコツ

ボーカル録音用のコンデンサーマイクのイメージ

ボーカル録音の質は、高価な機材より、2つの設定で決まります。

  • マイクとの距離を、適切に保つこと
  • 入力ゲインを、上げすぎないこと

録りの質は、ミックス・マスタリングでできることの幅を決めます。 本記事では、距離とゲインの考え方と、DTM初心者向けの手順を解説します。

※英語の解説動画(TheRecordingRevolution.com)をもとに、MASTER SOUND編集部が再構成しました。

Recording Great Vocals In Two Steps - TheRecordingRevolution.com

ポイント①:マイクとの距離は約20cmに保つ

なぜ20cmが目安なのか

カーディオイド型のコンデンサーマイクには、「近接効果」があります。 マイクに近づくほど、低域が強調される現象です。

近づきすぎると、次のような問題が起きます。

  • 声が太くなり、こもる。
  • 低域が膨らみ、EQでの調整が難しくなる。
  • 声本来の質感が変わる。
  • 体の動きで、音量が大きく変わる。

距離の目安は、マイクから約20cmです。 次のように設置すると、距離を保ちやすくなります。

  • ポップフィルターを、マイクから約10cm離して置きます。
  • 歌い手は、ポップフィルターから約10cm離れて立ちます。

※声量や声質、ジャンルで最適な距離は変わります。まず20cmから試してください。

ポップフィルターは「二役」

ポップフィルターには、2つの役目があります。

  • 破裂音を防ぐ
  • 「これより前に出ない」距離の目印になる

距離が安定すると、録音の自由度が上がる

距離が近いと、体の揺れが、そのまま音量の変化になります。 ミックスで、音量をそろえるのが難しくなります。適切な距離なら、多少動いても、音量の変化は小さくなります。 歌い手も、身構えずに、自然に歌えます。

歌い手を固定するのではなく、自然に歌える状態を保つことが、良い環境です。

ポイント②:入力ゲインは上げすぎない

クリップは、あとから直せない

波形が小さいと、インターフェースのGAINを上げたくなります。 でも、声が大きい部分で、クリップ(音割れ)する危険があります。

デジタルでクリップした歪みは、音量を下げても、元に戻りません。

メーターを、ピークぎりぎりまで振る必要はありません。 中間程度のレベルで、十分です。波形が小さくても、失敗ではありません。

※目安として、ピークが−12〜−6dBFS程度に収まるように調整すると、余裕を残せます。

「録音レベル」と「音圧」は別の問題

録音時の入力レベルと、完成した音源の音圧は、別のものです。 録音では、ピークにヘッドルーム(余裕)を残します。 音量や音圧は、ミックス・マスタリングで作ります。

録音チェックポイント一覧

次の表は、チェック項目にまとめたものです。 録音の前に、確認してください。

項目

考え方

マイクとの距離

約20cmを目安にする

ポップフィルター

破裂音対策と、距離管理の両方に使う

録音ゲイン

上げすぎない

ピーク

クリップさせない

録音音量

小さくても問題ない

音量・音圧の調整

ミックスマスタリングで行う

機材への投資

買い替えの前に、使い方を見直す

歌い手への配慮

自然に動ける環境を作る

機材を買い替える前に見直すことと

機材の質は、もちろん影響します。 ただ、次の問題があるまま機材を上げても、根本的には解決しません。

  • マイクとの距離が近すぎる
  • 部屋鳴り(部屋の反響)が大きい
  • ゲインを上げすぎている
  • ポップノイズが、頻繁に入る
  • 録音中に、距離が大きく変わる

まずは、今の環境でできる調整を、試してみましょう。

DTM初心者向け:録音の8ステップ

次の順に進めると、安定した録音ができます。

項目

作業内容

① マイクの固定

安定した位置に、動かないよう固定します。

② ポップフィルター

マイクの前に設置します。

③ 距離

歌い手とマイクの距離を、約20cmに調整します。

④ 声の確認

曲の中で最も声が大きい部分を、実際に歌います。

⑤ ゲイン

声量に合わせて、インターフェースのゲインを調整します。

⑥ ピーク確認

ピークでクリップしないように、余裕を持たせます。

⑦ 波形

小さくても、あまり気にしない

⑧ 音量調整

音量の調整は、ミックスの段階で行います。

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良い録音素材が、良いミックスをつくる

素材に問題があると、ミックスでできる処理の幅が、狭くなります。 主な問題は、次のとおりです。

  • クリップによる歪み
  • 近接効果による、低域の膨らみ
  • 大きな部屋鳴り
  • 不安定なマイク距離
  • 強いポップノイズ

適切な距離とゲインで録れた素材なら、EQやコンプレッサーの自由度が、大きく上がります。

MASTER SOUNDの見方:録音で気をつける2点

MASTER SOUNDでは、自宅で録音したボーカル曲のご依頼も、多くお受けしています。 録音の段階で意識してほしいのは、次の2点です。

  • 距離:近づきすぎず、一定に保つ。
  • ゲイン:上げすぎない。

この2点だけでも、ミックスの仕上がりは、大きく変わります。 素材をお送りいただければ、状態を確認して、ミックスをご提案します。

アドバイスQ&A

Q. 距離は、必ず20cmにしなければいけませんか?

目安です。
声量やマイクの種類で、最適な距離は変わります。
まず20cmで試し、近接効果が強いと感じたら、少し離してください。

Q. ポップフィルターがないときは?

破裂音が入りやすくなるため、用意することをおすすめします。 応急処置としては、マイクの位置を口の真正面から少しずらす方法もあります。

Q. 波形が小さくても大丈夫ですか?

大丈夫です。
録音の段階で小さくても、ミックスで調整できます。
クリップさせないことのほうが、重要です。

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本記事は、ボーカル録音の基本設定(マイク距離・入力ゲイン)を解説した動画(https://www.youtube.com/watch?v=vpEi_B12DtY)の内容をもとに、MASTER SOUND編集部が音楽制作者・DTMユーザー向けに再構成したものです。

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